神戸製鋼の研究

また、直系家族な、事例がでましたね…。神戸製鋼の財務データを読でみました。

横軸が売上高、縦軸が当期純利益率、バブルサイズは当期純利益(Forbes Global 2000)



まず、気づくのが、業界が変わってしまったこと。図を見ていただけばわかるように規模の経済が働いていません。業界首位のアルセロールの売上高当期純利益率は、3%。売上高が1兆円を超えていても、赤字の企業が結構あります。

過去10年の業績は、こちら(英語ですが)。
 http://financials.morningstar.com/ratios/r.html?t=KBSTF&region=usa&culture=en-US

過去10年でいえば、2008年度が売上のピーク。しかし、赤字を計上しています。2008~2009年度に設備投資も止まっていますので、ここで急ブレーキだったのでしょう。粗利益率も17.6%(2007)→11.7%(2009)と急落しています。

年間1,500億円も投資するような製造業が、粗利益率2割も行かなかったというのが根本的な原因でした。市場環境が、昔とは全く変わっていたのですね。品質にお金をかける余裕すら無かったと推察します。 

過去10年の当期純利益をみれば、6勝4敗。10年の平均は、1.8兆円の売上に対し、当期純利益は売上の1%だったと言えます。これだけの経営資源を投下してこの業績に満足な人は少ないでしょう。

財務レバレッジは2008年度をピークに低下。少ない利益の中から、借入返済を優先したため、研究開発が止まりました。総資産回転率が長期低下しています。は、棚卸回転期間は過去10年で最長の105日。流動比率が1.23と、財務体質は改善してきてましたから、いますぐドーノということはないですが、今回の件で、在庫が膨らむと、銀行の協力を求めることになると思います。

10年を振り返れば、実は、売上の伸びというのが大切なのがわかります。より多くのお客様に喜んでいただいているという指標を忘れてはいけませんね。

では。