高齢化速度

中国の減速と思った以上に強かった日本のGDPがニュースになりました。

きしむ中国成長モデル 不動産・地方財政・人民元が震源 - 日本経済新聞
【上海=土居倫之】中国経済が揺れている。不動産不況、地方の財政難、人民元安の3つが発火点だ。住宅販売不振で不動産価格の上昇を前提とした成長モデルがきしんでいる。地方財政の悪化と約15年半ぶり水準に迫る人民元安が足かせとなり、中国政府は思い切...

高齢化速度を確認したいと思います。

 高齢者扶養率=生産年齢人口(15歳~64歳)に対する65歳以上人口の比率。

 高齢化速度を今回は、高齢者扶養率の前年比(%ポイント)としてみました。

 経済成長率に影響が大きいのは、高齢者扶養率よりも、高齢化速度だと申し上げてきました。年寄りばかりの社会の方が、アウトプットは少なくなりそうですが、去年と同じメンバーなら、前年比は各々の頑張りにかかっています。

 ところが、前年よりもメンバーが高齢化するなら(高齢化が速い)とそれだけでマイナスになるわけです。下りのエスカレータを駆け上がるようなものです。

 振り返れば、団塊世代が65歳に差し掛かった2013年、日本の高齢化速度は2.13%(正確にはpercent pointですが、こう略します)にも達しました。世界新記録であり、よくも社会が持ったなというスピードです。日本よりも先に成熟した欧米の高齢化速度が0.5%以下だったのをみれば、それは明らかです。

 黒田バズーカが炸裂したのもこの年。振り返れば、金融緩和は、経済成長の必要条件ではあったが、十分条件でなかったのは明らかです。かくかように、高齢化というのは社会の重荷でした。

 しかし、その高齢化速度も2022年には0.2%まで低下しました。経済成長の大チャンスだったのですが、マスク自粛で潰してしまいました。2023年に入ってマスクを外したら、予想外に高い経済成長になったというのは、高齢化速度からすれば、驚かない結果です。

 一方、中国は、2010年代半ばから、高齢化速度が0.5%を超えてきました。日本も0.5%を超えてから低迷したことを勘案すると、実は、住宅バブルの崩壊は、コロナ前から始まっていたのではないでしょうか。

 しかし、私も分析できてないのですが、中国の高齢化速度は、2026年にかけて0.26%に低下します。ここで一息つけることでしょう。

 中国の本当に地獄は、2030年直前あたりになると予想します。

 欧米をみてみると、移民によってさまざまな問題はあるものの、高齢化速度はうまく抑えてきたのがわかります。さすがに、移民の摩擦が無視できなくなり、高齢化速度が上がる予測になっています。これまで日本を衰退国と見てきた欧米が、高齢化速度では日本と逆転します。ちょっと見ものですね。

 もう少し、細かく言うと、同じ欧州でも、英仏蘭の核家族地域は、親の面倒を子供が見るという意識が低いです。高齢化速度が上がっても、日本ほどには経済成長に影響しないかもしれません。一方、ドイツやスイスといった直系家族地域は、日本と同じように経済成長率が下がるのではないでしょうか。欧州でも直系家族の罠が当てはまるのか、見ていきたいと思います。