中国の減速と思った以上に強かった日本のGDPがニュースになりました。
高齢化速度を確認したいと思います。
高齢者扶養率=生産年齢人口(15歳~64歳)に対する65歳以上人口の比率。
高齢化速度を今回は、高齢者扶養率の前年比(%ポイント)としてみました。
経済成長率に影響が大きいのは、高齢者扶養率よりも、高齢化速度だと申し上げてきました。年寄りばかりの社会の方が、アウトプットは少なくなりそうですが、去年と同じメンバーなら、前年比は各々の頑張りにかかっています。
ところが、前年よりもメンバーが高齢化するなら(高齢化が速い)とそれだけでマイナスになるわけです。下りのエスカレータを駆け上がるようなものです。
振り返れば、団塊世代が65歳に差し掛かった2013年、日本の高齢化速度は2.13%(正確にはpercent pointですが、こう略します)にも達しました。世界新記録であり、よくも社会が持ったなというスピードです。日本よりも先に成熟した欧米の高齢化速度が0.5%以下だったのをみれば、それは明らかです。
黒田バズーカが炸裂したのもこの年。振り返れば、金融緩和は、経済成長の必要条件ではあったが、十分条件でなかったのは明らかです。かくかように、高齢化というのは社会の重荷でした。
しかし、その高齢化速度も2022年には0.2%まで低下しました。経済成長の大チャンスだったのですが、マスク自粛で潰してしまいました。2023年に入ってマスクを外したら、予想外に高い経済成長になったというのは、高齢化速度からすれば、驚かない結果です。
一方、中国は、2010年代半ばから、高齢化速度が0.5%を超えてきました。日本も0.5%を超えてから低迷したことを勘案すると、実は、住宅バブルの崩壊は、コロナ前から始まっていたのではないでしょうか。
しかし、私も分析できてないのですが、中国の高齢化速度は、2026年にかけて0.26%に低下します。ここで一息つけることでしょう。
中国の本当に地獄は、2030年直前あたりになると予想します。
欧米をみてみると、移民によってさまざまな問題はあるものの、高齢化速度はうまく抑えてきたのがわかります。さすがに、移民の摩擦が無視できなくなり、高齢化速度が上がる予測になっています。これまで日本を衰退国と見てきた欧米が、高齢化速度では日本と逆転します。ちょっと見ものですね。
もう少し、細かく言うと、同じ欧州でも、英仏蘭の核家族地域は、親の面倒を子供が見るという意識が低いです。高齢化速度が上がっても、日本ほどには経済成長に影響しないかもしれません。一方、ドイツやスイスといった直系家族地域は、日本と同じように経済成長率が下がるのではないでしょうか。欧州でも直系家族の罠が当てはまるのか、見ていきたいと思います。