ドコモが銀行を追い抜く日
岩田 昭男 PHP 2006/6
電子マネーが普及してきたことで、通信事業者の成長戦略の中での金融事業の位置づけがハッキリしてきました。この本を読むと、金融・通信業界の動きを俯瞰することができます。
5千万人の顧客から毎月電話料金を回収する仕組みが、クレジットカード事業と似ているのは、わかっていたことですが、ワイヤレスのブロードバンド化が進んで、金融会社よりも、一歩先に行ってしまったのが、面白いところです。
P.50 たとえば、ドコモショップで携帯電話に加入させるというのは、カード会社がスーパーや百貨店で会員を募集するのによく似ている。毎月の利用額をあらかじめ予測して使用を許可している携帯電話事業者と、最初の審査でその人にふさわしい限度額を設定し信用供与しているカード会社とはよく似ている。
VISAインターナショナルのCEOだったC.T.ラッセル氏のコメントが、P.52に書かれています。
最大のライバルは通信業者です。AT&Tやコンピュサーブといった通信会社が銀行を買収して子会社に持ち、決済機能を保有すれば、これは脅威になる。通信インフラと決済機能を持つという点ではVISAと何ら変わらなくなるからです。
VISAは、1500万kmもの通信網を通信事業者から借りて運用していますが、それを自前で持っている通信事業者は、割安で決済サービスを提供できる可能性があるわけです。
金融は、もともと、デジタル化と親和性が高く、過去10年では、オンライントレードのようなサービスが大きく伸びましたが、今後の10年では、携帯周りのサービスが大きく伸びそうです。
では。