Resetting Normal

 本日、9/25から、オランダの行動制限が解除されました。ただ、コロナ前に戻るというよりも、別の地点に着地した思いが強いです。

 同じ思いを受けたのが、アデコのレポート

 Resetting Normal: Defining the New Era of work 2021

2020年の報告(日本語) では8カ国が対象えした。2021年版は25カ国を拡大。アンケートを2021に実施した結果をまとめています。コロナで変わってしまった労働環境について学べました。以下、メモです。

 第1は、柔軟な働き方の定着。私は、同じ場所で働くのが苦手で、2005年からノマド生活していました。自分が普通の人とは違うと思って、シンガポール、オランダと流れてきたのですが、この一年で世界中の人にとって、それが「普通」になってしまいました。こういう変化は、一部の先進的な都市ではあったかもしれませんが、世界中で働き方が変わったのは驚きです。

 第2は、働き方の変化が、人事制度の根幹を揺らしたということ。労働時間ではなく成果に基づいて賃金を払うというのは、指摘されて久しい課題でした。社外勤務がこれほど長引き、「結果が出れば、時間までオフィスにいなくてもいいんじゃね?」という仕事がこれだけ増えたので、人事評価も自ずと変わらざるを得ません。

 リーダーシップについて悩む管理職の戸惑いも数字に現れていました。9時から5時まで社員がサボらないように見守るだけの中間管理職なら、リモートワークで要らないわけです。近未来には、経営者が、自分のテイストをAIに教えると、AIがものすごい勢いで仕事を社員に振るようにでもなったら、Span on control が1000人とかになりかねません。

 一方、リモートならではの孤独、メンタルヘルスの支援も指摘されており、管理職のスキルも変わってしまいました。

 第3が世代ギャップ。日本でも、通学したことのない大学2年生が話題になってますね。「高校5年生」というのも悲しいですけど。若いほど、リモートワークの要望が低い。新人研修の必要性が改めてわかるデータでした。

 第4が、心のケア。緊急事態宣言下は、全員有事なので、みんなで耐えようと思うでしょう。それが終わってみると、燃え尽きる人が出てくるわけですね。人生について考え直す人も多いでしょう。30年前に比べれば、メンタルヘルスに関する理解は進んだと思いますが、これほど大規模に「心が揺れる」経験を人類は最近してなかったわけで、管理職が心のケアをするのが、大事なのがよくわかりました。

 第5が、経営陣の研修。リモートにとどまりたい現場と、会社に戻そうとする経営陣。このギャップも数字で出ています。その原因の一つが、経営陣に対するテクノロジー教育の不足というのは、笑えません。上場企業の社長が孫にiPadの使い方を聞かれて戸惑っていると、孫がSiriに聞き始めて動揺するというようなことが、あちこちで起こっているのでしょう。

日本も、緊急事態宣言が解除されるようですが、世界の変化を認識せずに、会社に戻ろうとすると、グローバル企業は、タレントを失いかねないと思いました。

では。