【本】Culture’s Consequences

Culture’s Consequences: Comparing Values, Behaviors, Institutions and Organizations Across Nations

Dr. Geert Hofstede

ヘールト・ホフステッドはオランダの社会心理学者。異文化コミュニケーションの開祖。私が読んだのは1987年のAbridged Edition。企業を対象としたこの手の研究に先鞭をつけたのがオランダ人というのも興味深いです。冒頭はこちらの言葉。

The survival of mankind will depend to a large extent on the ability of people who think differently to act together.

p.8

 こう始められると、異文化コミュニケーションが、外国人とだけでなく、日本人同士でもあるのだなと思います。

以下の6つの軸(ホフステッド指数)で文化を表現しました。

  1. Power Distance 「力の距離、pdi」
  2. Individualism 「個人主義、idv」
  3. Masculinity 「男らしさ、mas」
  4. Uncertainty avoidance 「不確実性の回避、uai」
  5. Long Term Orientation 「長期主義的傾向、lto」
  6. Indulgence vs. restraint 「快楽的か禁欲的、ivr」

同氏のホームページでは、指数をダウンロードできます。

 本書では、40カ国の思考と行動の違いを調べています。それぞれの国には、家庭の中で生まれ、学校教育で強化される「心のプログラム」があり、これが国の文化、ひいてはコミュニケーションにも影響すると主張しています。

 調査は1968年と1972年に行われました。半世紀前なので今とは違う点もありますが、この分野の研究がどう発展してきたのかを知ることもできます。
 本書では、各項目のスコアに基づいて、どの文化圏に分けられるかが示されています。

 たとえば、日本とオランダの比較。

 オランダと比較すると、日本は、権威主義的(pdi)、集団行動重視(idv低い)、男らしさを(mas) 重視、不確実性の回避(uai)、 長期主義的傾向(lto)、禁欲的(ivr)ということになります。ま、違和感ありません。

 国民性の話は、グローバルにビジネスをする時には避けて通れない話ですが、感覚的な話になりがちです。下手をすると、ステレオタイプになりかねません。数字から話を始めることで冷静に議論ができ、余計な摩擦に時間を取られないようにできるので、有効だと思いました。