何年か前に物流不動産を調べていて興味深かったのは、シンガポール企業の活躍。MapletreeやGLPの倉庫は日本でも見かけます。あんな小さな国の企業が、どうして巨大倉庫を造るのに長けているのか。それは教育に一因があるのではないかと思っています。
不動産をフィギアスケートにたとえてみます。
技術点 (サイエンス) | 演技構成点 (アート) | |
商業 | ○ | ◎ |
物流 | ◎ | ☓ |
ショッピングセンターが、建物のデザインや、人間の空間認識がものを言うのに対し、倉庫はひたすら算数の世界。土地や建設費の坪単価。容積率や利用率などで、売上が計算できます。シンガポール人は、前者に弱く、後者に強い。それが、物流不動産企業躍進の原動力だと見ています。
シンガポールの学校教育をみていても、語学(英語、中国語)と算数には最大限の力を入れ、他の教科は、ほどほどです。一年中夏なので、体育を本気でやったら日射病になります。歴史を学ぼうにも、国ができてまだ50年しかありません。シンガポール人芸術家が、世界で認められるのには、あと何世紀かかかるでしょう。語学に堪能で数字に強いエリートがドンピシャはまった業界のひとつが、物流不動産だったのかなと。
逆に、日本の不動産会社が、海外で倉庫を建てるのは、あまり聞かないですね。人材と資金力を考えれば、もっと戦えるはずなのですが。細かなことまで気が付きすぎて、かえって強さが発揮できてない一例なのかもしれません。シンガポールから学ぶことができる事業のひとつです。