モルモットからカナリヤへ

ソニーの格付がA-へ改善。株価も上昇という記事を読みました。

ソニー株が10カ月ぶり高値、S&Pが7年半ぶり長期格付けを引き上げ
ソニー株が約10カ月ぶりの高値。S&Pグローバル・レーティングが4日、ソニーの長期格付けを「A-」に1段階引き上げたほか、ソニーが筆頭株主のエムスリーが日経平均株価の構成銘柄に採用された。

しかし、先日のFTの記事を思い出すと、素直には喜べません。

上図は売上高と営業利益率の推移。景気後退期に売上が減ると、利益が吹き飛び、当期純利益段階では2014年まで赤字が続いていました。SONYはエレキの損益の波を和らげる目的もあり、金融事業を拡大してきました。貸借対照表は、もはやメーカーに見えません。

総資産は20兆円を超え。邦銀で総資産ランキング第7位のふくおかフィナンシャルホールディングスと同じ大きさ。
資産の過半は、金融部門による投資です。メーカーの特徴である有形固定資産(PPE)は5%以下。2008年では半々だった金融・実業の比率は、今では、3分の2が金融の資産になっています。

2018年は、営業利益率が回復したことで、株価も好調です。

ROEは27%まで回復。

しかし、これは自己資本比率が18%と低く、 レバレッジが効いているためですね。

この巨大ポートフォリオを任せられるのは、吉田頭取しかいません。ITに在庫調整の波が縮小し、逆に金融事業が、10年ごとに破壊的な景気後退をもたらすのであれば、SONYが、今後の世界経済を象徴する会社になるのではないでしょうか。20世紀にモルモットと言われたましたが、21世紀にカナリアとなるのでしょうか。

では。