米食品会社クラフト・ハインツ社が赤字決算を発表しました。現代の食品会社経営の難しさを知る好例と思いましたので決算書読んでみました。
世界の食品業界は、5大陸で10社ぐらいに集約されるのではないかと思っていました。10兆円企業が10社のイメージです。すでにその規模を実現してるのが、ネスレ。ハインツは、同社を追っています。
下図は、横軸に売上高、縦軸に売上高当期純利益率をとったグラフです。(バブルサイズは、当期純利益)
ハインツの利益率が異常に高かったのですが、その反動が今回来たといえます。
しかし、粗利益率、営業利益率(一部、日本会計基準に近い読み直しをしました)をみてみると、34.1%と21.9%であり、引き続き優等生だといえるでしょう。
ハイツのケチャップが飽きられているというような批判は、ちょっと違うと思います。スリランカ、アラブ首長国連合、オランダ、スウェーデン、フィンランドなどを半年でみましたが、ハインツのケチャップは、どこのスーパーでも並んでいました。アメリカからの売上げが全体の7割を占める会社が、こうした遠い市場でしっかり棚を抑えているのは、大変なことです。
今回の赤字の原因は、貸借対照表にあります。
まずびっくりするのは、総資産が、合併等でに5倍になっていることです。しかも、無形資産(Intangible assets)とのれん代(Goodwill)がほとんどという、いびつな形。有形固定資産(PPE)も、72億ドル(8千億円)と巨大なのですが、わずかにしか見えません。
今回の騒動の主因は、無形資産とのれん代が182億ドル(2兆円)減損したことです。営業利益率がそんなに悪くないのに、現存した理由は、私にはわかりません。特損が大きすぎて、勘違いしてしまいますが、182億ドルといっても、無形資産とのれん代の合計は、1,042億ドルだったのであり、17%を除却したということです。よろしいことではないですが、ありうることかなとは思います。
要は、同社の総資産が、1200億ドル(13兆円)もあったところが、問題の本質なのではないでしょうか。食品会社は身近に感じますが、千葉銀行(14兆円)並に資産と負債を管理しなければならない(ALM)ということではないかと思った次第です。
サントリーさん、銀行員を雇っておきましょう。
では。