日本版グラミン・フォン

携帯各社が、被災地の復興に向けて本格的に動き出した。しかし、2000箇所を越える避難所に携帯を配るのはいいが、どのように運用するのだろうか。

公衆電話のように机の上に置いたら、力の強い人が長時間利用し、弱い立場の人は遠慮してしまうかもしれない。だれか担当者を決めるのはいいが、ただ働きで長時間拘束されるであれば、その担当者が不利になってしまう。
ノーベル平和賞を受賞したグラミン博士が開発した「グラミン・フォン」の考え方が、被災地では生きるのではないか。

I. 案
1.組織
運営: 「NPO法人日本グラミンフォン(仮称)」 以下、NPO
支援: 総務省、携帯各社、この趣旨に賛同する企業。

2.How it works
NPOは、被災者の中で最も立場の弱い女性の中で、職務が遂行できる人を採用し、「グラミン・レディ」に任命する。
NPOは、グラミン・レディに携帯電話(※1)を無料貸与する。
※1 携帯電話が開通するまでは、衛星電話。開通してからは、開通したキャリアの端末。

グラミン・レディは、1分=10円で、被災者に携帯電話を貸与。
ただし、被災でお金を持ち合わせていないとグラミン・レディが判断した場合は、「つけ」で貸与。

通話料は、グラミン・レディの収入になる。
携帯各社は、NPOに対する携帯料金を免除。余った端末を提供する。
財務省は、携帯各社のこの負担の損金算入を認める。

Ⅱ.評価
1.長所
イ)効率的な電波の利用
最低限の課金をすることで、長電話が防止され、電波が有効活用される。

ロ)Incoming Callの実現
グラミンレディは、避難所の顔と名前がわかるので、
外部から電話がかかってきたら、本人に取り次げる。

ハ)雇用創出
産業が壊滅状況の被災地に雇用を生む。
今回であれば、高齢の女性2000人に所得が生まれるかもしれない。

2.短所・リスク
イ)不正利用
被災地でないところに携帯を持って行き、利用することもあるかもしれない。

ロ)暴力
被災時にお金を取ろうとすることに、反発が起きるかもしれない。

Ⅲ.その他

一度、グラミンレディになった人は、次に災害が起こったときの「予備役」になる。スーパーバイザーとして雇用され、新人グラミンレディが仕事ができるまでアドバイザーとして活躍する。

以上