英国の富国強兵

イギリスに新首相が誕生しました。絶対核家族ってスゴイなと思う1日でした。

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インフレで、この冬を越せるのかという時に、減税と規制緩和で小さな政府を目指します。

Prime Minister Liz Truss’s statement: 6 September 2022
Prime Minister Liz Truss's statement on the steps of Downing Street.

英国の経済政策は下表のとおりです。

Source: The Economist etc.

 経済成長率は、エコノミスト誌の2022年度予測です。トラス首相は、イギリスを再び高成長にするそうですが、2022年GDP成長率予測は3.6%。表の4地域中では、中国と並んで最高です。ポリシーミックスの原則から言えば、金利を上げ、増税するのが、物価抑制の常道です。新首相の減税は、財政政策が緩和、金融政策が引き締めのチグハグな組み合わせになります。

インフレを対策は、2種類あります。ひとつは物価を抑えること。もう一つは所得を上げることです。物価が10%上がっても、所得が20%上がるなら問題ありません。新首相は、後者をむしろメインにしているのではないでしょうか。

 イギリスの消費者物価は前年比10%上昇しているのですが、コアを見ると、6%程度です。エネルギーと食品の影響が大きいわけです。先日の投稿で、インフレの主因は、ウクライナ戦争ではなく、物流の乱れという分析を紹介しました。相当の物品を大陸欧州からの輸入に頼っていたのに、ブレクジットしてしまった英国が、最大の影響を受けているというのは納得なところです。

 しかし、物流の乱れのピークは、2021年末でした。WTIの高値は2022年3月。食品価格も落ち着いてきていることから、統制は可能なのではないでしょうか。減税は、それほど悪くないと思います。

 こんな危機的な時にも、小さな政府を志向し、国民に自助を求めるのは、さすが絶対核家族。格差の許容度が日本とは違います。30年前のカルトの問題を思い出した時、我が子に宗教とは何か教えて、洗脳されないようにするのではなく、政治家になんとかしてくれと思う。インフレで困っている人がいれば、5万円配ろうと思う国とは違います。

 新首相が、エネルギー価格に上限を設定するかに注目しています。価格メカニズムでエネルギー危機に対処したとしたら、計画停電で需要を強制的にカットした2011年の日本との対比が一層明確になるでしょう。