5-3-1基準

最近、企業の幹部研修をやるようになりました。今後、グローバル企業で、幹部になるには、「5-3-1基準」が標準になるだろうとみています。それは、

  • 5カ国に住む
  • 3カ国語ネイティブ
  • 博士号(飛び抜けた専門性)1つ

です。

 5カ国に住むというのは、世界四大文明を理解するためです。地域統括会社のリーダーは、複数の文化を持つ国を担当します。パワハラやセクハラなど、タブーに触れるような人をトップにするわけにはいかなくなりました。
 キリスト教、イスラム教、ヒンズー教、儒教のお祝いごと忌みごとを肌感覚で学ばなければなりません。イスラム教徒の女性にしてはならないことはなにか。12月決算の会社でキリスト教徒が12月に長期休暇を申請したら同対応するか。中国人とインド人が喧嘩したら何語で止めるのか。こうしたノウハウは、本に書けません。住みながら学ぶ必要があります。

 3カ国語というのは、実際のコミュニケーションもありますが、忍耐力を示す指標です。日本人の英語がヒドいのは、もはやギャグになっていますが、2000年代に、発展途上国から、大量の優秀な人材が国際転職市場に流入すると、致命的な欠点になってしまいました。中国の地方出身者でも、流暢な英語を話すようになっており、これだけの人材がいるのに、英語の話せない日本人を雇う、あるいは上司にするということは難しくなっています。ここは、90年代にジャパニーズ・イングリッシュでも通じたという成功体験を持っている人が誤ってしまうところです。地道な努力で外国語を学ぶ謙虚さと忍耐力がなければなりません。

 1つの専門性(博士号)も、2040年には、幹部の間で定着しているのではないでしょうか。私の父の時代には、大卒にプレミアムがありました。私の世代は、修士がギリギリ意味を持っています。子供の世代では、博士までいかないと、プレミアムがつかないのではないでしょうか。

 博士号を取得しなくても、もはやその道の専門家がトップダウンでリーダーシップを発揮する時代になっています。ジェネラリストで済む時代でもなくなりました。

 5-3-1基準を満たしている人が、幹部候補生として、グローバルなキャリアを提供され、年収30万ドルコースへ。それ以外は、現法の社長を天井とするキャリアになり、年収10万ドルが上限になる時代になるのではというのが私の見立てです。