ムハマド ユヌス 早川書房 2018/2
A World of Three Zeros: he New Economics of Zero Poverty, Zero Unemployment, and Zero net Carbon Emissions by Muhammad Yunus
2006年、グラミン銀行と共にノーベル平和賞を受賞した筆者の経済発展論。久々に経済発展理論を振り返りたくなりました。
第1部 問題。出発点は、資本主義の欠陥。オックスファムの2017年1月の発表は、p.11
世界人口の下位半分より多くの富を所有する”超特権者”の数は8人にまで減ったという。しかも下位半分の人口は36億人に増えている。
これによる格差に警鐘を鳴らしています。
このような富の集中の加速傾向が危険なのは、それによって人類のしんぽや社会の一体感、人権、民主主義などが脅かされるからだ。富が集中する世界は、政治権力が一部の者に支配され、その少数者の利益のために利用される世界でもある。p.10
第2部は、3つのゼロ。貧困、失業、二酸化炭素排出量ゼロを目指します。貧困を無くす取り組みとして有名なのが、グラミン銀行。第4章では失業ゼロを目指し、ノビーン(新しい起業家)プログラムを紹介しています。ノビーン・ウッドクターとは、ベンガル語で、新しい起業家という意味。仕事が見つからない若者に、仕事を創ることを推奨しています。
これも、単なる出資ではなく、メンター・プログラムまで含んだ支援体制を築き上げています。
第3部は、世界を変える巨大な力。第7章は若者。冒頭は、ワシントン・ポストの記事。
“Majority of Millennials Now Reject Capitalism” (April 26, 2016)
資本主義の欠陥は、若者には明らかであり、上の世代よりも社会に貢献したいと思う彼らは、新たな道を探しているのが伝わってきます。
第8章は、テクノロジー。電気の使えない人も使えるコンピュータの話は、p.176。
平均的な人が一生の間に閲覧するすべてのウェブサイトの全画像とでーたを集めて圧縮すれば、実はコンピュータに内蔵された2テラバイトのハードディスクに収まる。
Endless Computer のホームページは、こちら。
第4部は、未来への足がかり
第10章は法律と金融の話。クレディ・アグリコルのマイクロファイナンスへの取り組みが書かれてます。
Grameen Crédit Agricole Foundation
銀行員がやる仕事は、まだまだありますね。
では。