鈴木 喬 WAVE出版 2013/1
エステー会長のリーダー論。社長本の名著にありがちな、素晴らしすぎてマネできない系。エッジを立てるために、マネのできない施策を打っています。
たとえば、ネーミング会議廃止(p.63)。
マキャベリ・韓非子の引用が随所にあります。マキャベリはたとえば。
偉大な事業を起こしてみずからを類稀な模範として示すこと以上に、君主の名声を高めるものはない(君主論、Il Principe)
『強者の人間学 韓非子』からの引用。
人間は欲望によって動く動物である。人間を動かしているのは『仁』でもない、『義』でもない、ただひとつ『利』であるというのが『韓非子』の認識である。 P.159
英国海軍の例はP.106
英国海軍では、兵隊に塹壕を掘らせるときに将校は絶対に手伝わない。一方、陸軍の将校は兵隊と一緒になって塹壕を掘る。なぜか?陸軍は徴兵で、海軍は志願兵だからだ。(中略)リーダーは雨が降ってもコートを着ずに立ち続ける。そして、全体を見ながら大きな指示を出す。
Dal momento che l’amore e la paura possono difficilmente coesistere, se dobbiamo scegliere fra uno dei due, è molto più sicuro essere temuti che amati.(Il Principe)
一方でデータ・アナリストである面も後半あります。
経営とは数字だ。
数字で考え、数字で語り、数字で結果が出る。徹頭徹尾、数字である。p.151
勝負勘の重要性を説く割に、意外なのですが、ただ、張ればいいというものではないのです。
p.158にエステーの米国子会社だったエクセル社の粉飾を調べた下りがあります。
売上が下がって在庫が積み上がっているのに、利益は出ている。典型的な粉飾ケースだ。p.158
社長の仕事は、人物鑑定業。p.162
相手企業の大将の「人間」を見る。
信頼に足る人間かどうかを、社長自身の目で鑑定するのだ。「発言に齟齬はないか」「これまでに何をやってきた人物なのか」「人相はどうか」「挙動にあやしいところはないか」・・・。ありとあらゆる観点から見極める。それも一瞬で。
健康管理では、8時間睡眠や、過去を振り向かないことを述べています。p.180
東日本大震災の時の対応が、参考になります。
- テレビは状況を確認したら消す
- ネットやメールも見ない
- 専務が緊急対応をしている間、土日は自宅で過ごす
- 大事なのは、平常心を保つこと。じっくりモノを考えること
- これからできることだけを考える
- 月曜日は、激励のスピーチ
というわけで、マネできません。