クライド・プレストウィッツ 東洋経済新報社 2016/7
原書は、Japan Restored: How Japan Can Reinvent Itself and Why This Is Important for America and the World. 2015/11 の発売。 学生時代に”Tradng Places” を読んで、アメリカで議論したことを思い出します。本書は、いくつもの提言を実行できればこういう未来も実現し得るということを示したものです。予測本として読んでしまうと、物足りないでしょう。
むしろ、Trading Places から30年という視座で読むべきなのでしょう。日本経済の変化を1945-2050というスパンで捉える参考書として読みました。そう考えると、改めて、幅広い著者の知識に感銘を受けます。もしも、自分がタイについて、同じ本を書くとします。タイ語を学習し、文献を読み込み、インタビューを繰り返すでしょう。タイ人がタイ語で読んだ時に、違和感のないレベルに達するまで、どれほどの努力が必要なのでしょう?
本書は、甚だ楽観的ながら、日本語で読んだ時に違和感はありません。外国人の視点で日本の将来を描くことで、現状の問題点が浮かび上がります。日本人が問うべきは、個々の実現性というよりは、そうした課題を俯瞰することなのだと思いました。
予測の出発点は、やはり、人口動態の変化。第4章で女性のライフワークバランスを取り上げ、人口問題の解決策を提示しています。
中国に関しては、人口動態から、それほどの脅威にならない見方をしています。p.79のエアシー・バトルかオフショアコントロールかという節は、来年以降のアジアのリバランスを考える上で、参考になりました。
第5章の英語、第6章の技術革新、第7章のエネルギーについては、やはり現実離れしていて、ついていけませんでした。英語は特区なら可能かもしれません。例えば、東京23区(のいくつか)は、英語を公用語にするなど。技術革新は、直系家族的なやり方があると思いました。
では。
【参考】
http://toyokeizai.net/articles/-/129912