【本】財政危機と社会保障

財政危機と社会保障

鈴木 亘 講談社 2010/9
だまされないための年金・医療・介護入門の鈴木教授による社会保障論。前書では、賦課方式の限界を改めて明らかにし、積立方式への移行方法まで具体的に示しました。本書では、国家財政への影響も分析しています。

 現政権の強い社会保障の実現性について議論しており、今日的なテーマです。

経済学では通常、成長戦略とは「潜在成長率」を高める政策 p.79

とし、本書でも経済学の視座から政策を批判。規制業種で、税金によるダンピングが観察される社会保障の分野を成長産業とみることに疑問を呈しています。
 そもそも、「保険」であるはずなのに、税金が使われており、そのダンピングが歪を作っている。
 また、よくモデルとして言及される北欧諸国については、高齢化のスピードが違うことを指摘。p.115
 本書では保育もカバー。ここにも、市場メカニズムが働いていないこともわかります。

例えば、東京二十三区の公立保育所における0歳児一人当たりにかかっている保育運営費は、なんと、平均で月額50万円程度の水準に達しています。(中略)
極端な東京二十三区の例を挙げると、大半を占める正保育士の年収は、平均で800万円程度です。p.201

 この数字は、本当なんですかね。確認したいところです。

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