ヒラリー・ロダム・クリントン 2015/5 日本経済新聞社
米国務長官の回顧録。元ファーストレディーであり、ニューヨーク州の上院議員。そして、現在の大統領候補。様々な角度から、本書を読むことができます。
印象に残る第1は、アメリカの政治は、世界政治そのものということ。国務長官時代の話なので、各国首脳との交流中心の記述ですが、アメリカの場合は、それが「政治」なのだと感じさせてくれるパワーがあります。
第2は、女性指導者との視点。韓国に続き、台湾にも女性の最高指導者が誕生しました。著者の視点から見る世界情勢は、理解しやすく、指導者の資質に男女の差は、もはや無意味というのを実感させてくれます。サルコジ大統領の下りで、靴が脱げた時に、シンデレラの話を持ちだしていました。アフリカでの女性虐待に対する指導力の発揮ぶりなども、女性指導者ならではの意志を感じました。しかし、ほとんどの場面では、性差を感じずに読むことができました。
第3は、印象の重要性です。最高指導者の回顧録は、人物評になりがちで、本書も例外ではありません。アウンサンスーチー女史との交流や、メルケル首相との会話には、やはり、同姓同士のキヅナの深さを感じました。一方、プーチン大統領に対する批判は、ハッキリ打ち出しています。
テロが世界に広がり、世界政治の影響を誰もが受ける時代になりました。東南アジアでも、ジャカルタでテロがありました。シンガポールでは、バングラディッシュからの労働者が大量に国外退去処分にされました。アメリカ大統領選挙の年は、こうした動きが活発になりますね。有力大統領候補がどのような人物なのか、シンガポールからも関心を持ってさらに読み進めたいと思います。