日本経済新聞社 2015/10
日本経済新聞 経済教室で連載された「やさしい こころと経済学」を書籍化したもの。私が学部にいたころは、学べなかった考え方で、楽しく読めました。
冒頭は、『福翁自伝』からの引用。
福沢は原語の「コンペティション」に適当な日本語が思いつかず「競争」と訳したのですが、その有力者は「争い」という言葉を含む訳語に不満を示しました。福沢は商売人が値下げ競争をしたり、金貸し競争をしたりして、物価や金利が決まるというだけの話と説明しましたが、有力者は「西洋の流儀はキツイ」と述べたそうです。p.16
第3章は 男女の行動の違い。女性のリスク回避傾向が語られた後、性差の刷り込みを議論しています。p.56に、インド北東部のカーシ族(女系家族)と、マサイ族(男系家族)の比較が載ってます。バケツに入った球の数に応じて賞金が得られるゲームで、競争制と固定制の報酬が選べるときに、カーシ族の女性の過半数が競争制を選びました。男性は4割でした。
他にも様々な角度から、既存の経済学を見ていき、最後は、脳科学との融合を議論していました。
いちいち、頷くことばかりですが、何か満たされない思いが。やっぱり、普通の日本人が求めているのは、労働人口が減る中で、どのように経済を運営すればよいかという答えなのではないでしょうか。処方箋を見出すパワーが感じられませんでした。端境期なんでしょうか。
では。