【本】ヤノマミ

ヤノマミ

NHKスペシャルになった原住民潜入ルポ。ヤノマミ族はアマゾン最大の原住民。独自の文化と風習を1万年以上守り続けており、帰社は半年間彼らの暮らしを追っています。



 私は、4日間アマゾン川を船で上り、マナウスで日射病に倒れました。あの強烈な日差しの下、アマゾンにこうした原住民が生きていたとは知りませんでした。
 彼らの様々なエピソードから、「人間」とは何か、「文明」とは何かを考えさせられます。一番衝撃を受けたのは出産。ヤノマミは一夫一婦ですが、性はおおらか。しかし、年子がいない。
 陣痛が始まると、女性は森に行って出産します。初産の女性が難産で、45時間も苦闘する姿が活写されています。

ヨガ開けtも子供は産まれなかった。場所が悪いとおもったのか、女たちは出産場所を変え、さらに森の奥へと入っていった。p.215

 そうか、我が家も場所を変えれば良かったか…。それでも子供が産まれないのでシャーマン登場。

女の性器には出産を妨げている精霊が付いている。p.216

そうか、我が家も精霊を追い払う必要があったか…。
 彼女は45時間眠らず、痛みで泣き続けた末に、子供を産み落とした。しかし、彼女はその嬰児を自らの手で絞め殺します。p.218 
 ヤノマミの社会では、生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ精霊。人間の子供として育てるかどうかは、母親が一人で判断します。
精霊のまま返すときは、わが子の首を絞め、バナナの葉にくるみ、白アリの塚に入れる。白アリが食べつくすのを見計らい、アリ塚を焼いて精霊になったことを神に報告する。
 我々のモノサシで見てはいけないとは思うものの、かなりの衝撃を受けます。あらためて自然で生きてく厳しさを知ると同時に、現代社会がそれにどう対応してきたかを考えることになります。
 3.11以降、我が国のあり方について、根本的なと問が発せられていますが、文明を考えるのにとてもよい本だと思いました。