徴税権力―国税庁の研究
落合 博実 文藝春秋 2006/12
「火事はどこだ」
「税務署だ」
「じゃぁ ほっとけ」
冒頭で紹介される小話が、私たちの税務署に対する思いをよく表してくれています。なんだかよくわからないところで、疎遠になっていたい。そんな税務当局に対する元朝日記者のドキュメント。
私も独立して、税に対しては、180度違う姿勢で臨むようになりました。税務署と接点のある方には、お勧めの本です。
最近、ナントカ還元水が話題になっていますが、政治家と宗教法人は、税務当局にとっては、苦手分野だったんですね。調査に入れば、増差をあげる必要があります。もともと非課税部分の多い団体は、それが難しいんですね。
第1章で、金丸信摘発が描かれていますが、この摘発が奇跡だったのがよくわかりました。
先日特捜検察vs.金融権力をご紹介しました。第4章
では、検察と国税庁の部妙な関係が描かれています。事件によっては、補完関係にあるのですが、ここでは、摩擦が起きたケースとして、野村沙知代の逮捕が紹介されていました。
極秘の内部文書を元にした話など、取材力の高さは群を抜いていますが、国税庁にストックホルム症候群的な愛着を感じているようなところもあり、もうちょっと、冷徹に切り込んでも良かったのにと思いました。
では(^^)/^