【本】円を創った男 ☆☆☆☆

円を創った男
円を創った男
渡辺 房男 文藝春秋 2006/2

たしか、この方の作った学校に通っていたと思うんですが、円を創った方とは存じ上げませんでした。
 幕末モノは、面白いんですが、久々に違った切り口から時代を観た気持ちになりました。私なんかは、銀行に入って、ドル円のディールでオロオロしていたわけですが、大隈重信は、円を「創った」んですね。しかも、29?33歳で。


 時代が違うといえばそれまでですが、佐賀藩の一藩士に過ぎなかった明治政府の中枢に飛び込み、大蔵省を率いて統一通貨を作り上げる過程は、圧巻です。
 33歳といえば、堀江元社長と同じぐらいの歳ですかね。大隈公と堀江社長の生き方を比較すると、時代背景が逆にわかって面白いですね。今や、日本人年齢の中位が43歳。33歳では、部下もいないし、権限もない人が多いと思いのではないでしょうか。それが、大隈公は、伊藤博文を部下とし、お金も、信用もなにもない状況で、欧米列強の公使からプレッシャーをはねのけて、「円」を創りだします。
 そう考えると、今のアジアの中における「円」は、どうですかね?明治の頃に比べれば、価値は上がりましたが、その「志」は、評価されているでしょうか。

 おススメの一冊です。

では。