DCMXとドコモの成長戦略

 ITメディア(2006/5/8にドコモ夏野さんのロングインタビューが掲載されました。
 おサイフケータイの狙いは何か、ようやく全貌が分かるだろう
 DCMXがドコモの成長戦略上、どのように位置づけられるか考えてみます。

 ドコモの収入は、次の式で表すことができます。

  収入= 顧客数 × 客単価(ARPU)

 顧客数は、51百万人ですし、客単価も毎月7千円が限界なので、このままでは、成長が鈍化するというのが、贅沢な悩みでした。マーケットシェアが55%も行ったら、それ以上のシェア獲得は、難しくなります。


 ここから新しく成長戦略を描く時には、顧客数を増やすか、ARPUをあげる必要がありました。顧客数の増大では、海外進出に取組みました。他国のキャリアに投資という形でしたすが、うまくいきませんでした。
 ARPUの増加では、データ通信からの収入増加に取組んでいます。iモードが一巡してからは、FOMA端末への移行に力を入れてますね。しかし、ARPUについては、ソフトバンクが参入してきたことで、値下げ圧力が続くと思います。
 貸借対照表を見ると、総資産6兆3千億円の内、8.4千億円が現金及び現金同等物で、フリーキャッシュフローが、5千億円ある。このお金は、どこかに行かなければならないわけで、不動産か金融事業に行くのは、順当なとこでしょう。
 ただ、ドコモほどの大企業であれば、独占禁止法をよく考えながら、事業領域を考えるはず。いきなり「銀行始めます」というのは、いろいろ問題あるでしょうから、「携帯電話の決済やります」というのは、わかりやすいですね。
 これは、ソニーがFeliCaを切り口に決済事業に参入してきたのに似ています。ソニーとの違いは、すでに、50百万人の電話料金を毎月徴収している実績と、全国にドコモショップを持っていることですか。
 ドコモは、金融業の王道的には、決済の手数料をもらう事業から金融資産を積み上げて金利収入を狙うことになるでしょう。ただ、むしろ注目すべきなのは、小額決済を安価に課金するプラットフォームになることかもしれません。
 この辺については、元マイクロソフトの古川享さんがiTMSについて触れたコメントや、、SAPIO 5月10日号で大前研一さんが書いた記事「NTT法の縛りを解けばすべての支払いを一元化できる電子決済社会が到来する」が参考になります。
 ソーシャルネットワークサービスが、2007年にかけて、浸透してきたときに、ドコモが大きなプレイヤーになるのではないでしょうか。 

 では(^^)/^

資料:ドコモ 2006年3月期 決算説明資料