野口悠紀雄先生が、週刊ダイヤモンドの「超」整理日記(4月29日号P.164?)で、「資産大国」に必要なのは賢明な運用法と書いています。ここでは、貿易収支(フロー)と、対外純資産(ストック)が比較されていますが、GDP(フロー)と国民総資産(ストック)で表にしてみました。
1955年のGDPは8兆円。国民総資産が54兆円ですので、国民総資産は、GDPの7倍でした。それが、2003年になると、16倍まで増えています。
国民一人当たりになおすと、GDPが390万円で、国民総資産が6381万円ですか。資産の運用利回りが1%低くなると、63万円の影響があるということですかね。4人家族ならば、世帯への影響は大きいですね。
これだけ増えた国民総資産の内訳は、下表の通りです。
1955年では、実物資産、不動産、金融資産がちょうど3分の1ずつでした。それが、2003年では、実物資産と不動産の比率が半減し、金融資産が倍近くになっています。一生懸命稼いだお金は、建物とか不動産に行くというよりも、預金や株式になっているというとこでしょうか。
こうした資産からの所得が大きくなると、国民の行動も変わってくると思います。ひとつは、資産に対する意識が高まるということです。昔は、資産がそれほどなかったので、資産の運用益よりも、給料を稼ぐことに集中した法が、効率的でした。それが、資産の運用に意識が向くようになると思います。
もうひとつは、実物資産への回帰がではないでしょうか。経済がインフレになってこれば、金融資産から実物資産での運用が有利になってきます。たとえば、日本の住宅は、何年かすると価値がゼロになってしまいますが、家を資産として高めるような投資が増えてくると思います。最近のリフォームブームは、そのような説明ができると思います。
フローな時代では、フローな消費が受けていました。ボーナスが出たら、家族で外食していました。ストックな時代になってくると、ストックな投資が受けるのではないかと思っています。株の配当が増えてきたら、イケアに行って部屋の価値を高めるとか。
これまでの小売業は、価格を下げることで、家計の損益計算書を改善する手伝いをしてきました。これからは、家計の貸借対照表を改善するような商売をするところが、重宝されるようになるのではないでしょうか。
では(^^)/^