権威主義の中国が、高成長なので、民主主義が相対的に色あせたという論調を目にしました。民主主義国家は低成長なのでしょうか。
「民主主義と資本主義」奇妙な連携が破たんする日
人類を突き動かすのは主義(ism)である。経済と言えば「資本主義」、政治と言えば「民主主義」。嵐の前の静けさかと思うほどかつてない安全と豊かさの泡に包まれた欧米や日本にここ半世紀ほどの間に生まれた者に…
横軸に英エコノミストの民主主義指数(2021) をとりました。縦軸が2010年代の経済成長率(CAGR)です。バブルの大きさがGDP。上位20カ国をみると下図のようになりました。
確かに回帰直線は右肩下がりではありますが、決定係数(R2)は0.2848ですので、無相関なのだと思います。デモクラシー国家でもインドやインドネシアは高成長です。というか、中国の成長が異常に高く、ロシアやサウジは低成長ですね。
先進国の経済成長率が落ちたのは、やはり、高齢化ではないでしょうか。
下図は横軸を高齢化スピードにして、GDPの小さなほかの国も入れてみました。バブルサイズは人口にしてあります。まずは、1980年代。
日本の高齢化スピードもまだかわいいもので、高成長を続けていました。回帰直線は無相関ながらも右肩上がりですね。
1990年代に入るとこんな感じ。日本だけ高齢化スピードが早まったのがわかります。
2000年代。ドイツも高齢化スピードが増し、成長率が落ちてますね。
2010年代。実は、世界が日本を追いかけてました。
地味に、フィンランドとかプエルトリコは、高齢化スピードが速すぎて苦労したと思います。
きっちり詰める時間はないですが、民主主義が経済成長につながらなくなったというより、高齢化が成長率を下げたようには見えます。中国が異常値であり、とくに2010年代は、高すぎないかなと。
民主主義国家ほど、高齢者にも配慮するので、経済成長が犠牲になるというのであれば、まだわかりますが、権威主義の優位を語る要素としては弱いかなと。
では。