民主主義とコロナ

雑誌エコノミストに、Global democracy has a very bad year という記事にが掲載されていました。

Global Democracy Index 2020 (世界民主主義指数2020)という10点満点の指数で、世界地図が載っているいます。首位はノルウェー(9.81点)。最下位は北朝鮮(1.08点)です。

 いろいろ感慨深いのですが、ひとつは、8点以上の”Full democracy”は、世界人口の8.4%に過ぎないこと。日本は、8.13点でFull democracy なのですが、世界のほとんどの国は、日本のような民主主義ではない政治体制で暮らしているということです。

 もう一つは、フランス(7.99)やアメリカ(7.92)は、8点未満で、”Flawed democracy” であること。首位のノルウェーと比べると、政治文化(Political culture) などの点数が低く評価されています。日本よりも民主主義度が低いのは意外ですが、今のフランス政治の危機が伝わる点数でもあります。

 この民主主義指数で、コロナ対応の巧拙を検証してみました。横軸に民主主義指数。縦軸に、2020年GDP成長率の変化(%ポイント)を取ってみました。

IMF WEO。2020年度GDP成長率見込みの下方修正幅が極端に大きい、シリア、レバノン、フィジーなどは除いた。

 たとえば、IMFのWorld Economy Outlook (2019年10月)は、2020年度の日本のGDP成長率を0.5%と予測していました。コロナ後の2020年10月版では、同年の成長率を-5.3%と5.7%ポイント下方修正しました。GDPの下方修正幅をコロナの影響と考えると、下落幅が大きな国ほど、コロナの経済的な被害が大きかったといえるでしょう。

 台湾は、民主主義度が8.94点と日本よりも高く、成長率の下方修正幅も1.9%ポイントに抑えました。こういう国ばかりなら、民主主義政府の方が、コロナ危機にうまく対応したと言えるでしょう。しかし、イギリス(-10.2%ポイント)、スペイン(-14.7%ポイント)と、”Full democracy” な国でも、ダメージをコントロールできなかったところが目立ちます。

 特に、インド(-17.3%ポイント)、ペルー(-17.6%ポイント)はひどいですね。平均でこれぐらいの所得が失われたとすると、政情不安になってもおかしくありません。

 一方、中国の民主主義度は、わずか2.27点(世界151位)ですが、下落幅はわずか4.0%ポイントでした。

 回帰直線を引いてみると、R² は 0.0981ですので、無相関とも言えなくもないですが、エコノミスト誌が指摘するように、民主主義国の成績は芳しくなく、今年、様々な局面で、民主主義の意義が問われそうです。