【本】遺書

遺書 東京五輪への覚悟
幻冬舎 森 喜朗  2017/4

東京五輪組織委員会会長の中間報告。非常に面白いです。五輪を通じて、日本の政治を学ぶことができます。幾つか感想です。

第1は、「組織委員会」というのがどういう役割であるのかがわかりました。ほとんどの都民は、それもわからずに、ニュースを読んでいたのではないでしょうか。

第2に、「説明責任」について考えさせられました。森さんと小池さんは、政治スタイルが違います。本書を読めば、森さんは仕事はしていたが、アカウンタビリティが欠けていたと感じると思います。日本では、アカウンタビリティを果たすと、利害調整ができなくなるのかもなとは思いました。

第3に、民主主義の長所・短所が描かれていました。現場が「玄人」として進めているときに、選挙が変化を与えるのが民主主義です。長期でみれば、絶対的な腐敗を防ぐのでしょうが、短期で見るとコストのかかる仕組みだと再認識しました。

第4に、政策論争(ディベート)がなくなったなと思いました。こうした議論を双方が展開して、政策が切磋琢磨されるべきものですが、五輪については、本当に私も理解不足でした。前述の説明責任同様、日本では、ディベートすると、利害調整ができなくなるのかもとも思います。

いずれにせよ、論争の的になる本には相違ありません。こういう本がでることは評価したいです。

では。

参考
http://www.sankei.com/premium/news/170422/prm1704220007-n1.html