財務金融委員会の植田総裁への質疑(議事録)を読みました。メディアは次のような伝え方が多いですね。
私も、総裁がジャクソンホール会議に出席できた方が良いとは思いますが、非常に勉強になる質疑でした。
第1は、黒田日銀が物価の見通しを外し続けたのに、総裁が変わると当たり始めたという指摘です。リー・クアンユー首相の言葉を思い出します。日本人は何をやればよいかわかっているのにやらないという。
日銀の物価予測能力は、今も昔も変わらず優秀なのだと思います。総裁の意向を忖度して長きにわたり、不正確な予測をしました。金融のプロが必要です。
第2は、黒田総裁は、超低金利による円安が引き起こすインフレを認めませんでした。植田総裁は認めています。教科書的にはあたりまえのことですが、日銀総裁が認めない場合、唯一、疑義を呈することができるのは国会なのですね。日銀の独立は、アカウンタビリティあってのものだと思います。健全な金融政策を採用するために、国会の意義について考えるよい機会になりました。
こういう質疑ができるのは、階議員がもと銀行員だからですね。日本には金融のプロが必要で、その何人かは国会に送り出す必要があると思いました。
第3は、舌鋒鋭く首相を批判する階代議士でしたが、岸田首相が日銀総裁を交代させてことは評価していました。日銀の独立は担保されていますが、国会は総裁人事で牽制しているわけですね。安倍政権によってタガが外れた金融政策を元に戻したのも、元銀行員の首相でした。日本には金融のプロが必要で、その何人かは首相にする必要があるのだと思います。
メディアはまだ足元の経済が弱いのに利上げと、株式相場が暴落とかいう批判をしていますが、質疑では中立金利を議論して、日銀と市場の対話を改善するべく促しています。実に正鵠を得た議論です。
首相候補が地元のお祭に行って大人気とかいう絵を抑えるのもいいですけど、国会議員の仕事場は国会です。スポーツ記者が大谷選手の40号ホームランを解説せずに、自宅の住所を報じていたら批判されないでしょうか。
議員の批判は、議員の仕事をちゃんと報じてからでも遅くないかと。
では。