硫黄島からの手紙

硫黄島からの手紙 (監督 クリント・イーストウッド、出演 渡辺謙、二宮和也)
Letters from Iwo Jima (監督 クリント・イーストウッド、出演 渡辺謙、二宮和也)

 映画館に行ったら、良い席に座れました。休みなのにラッキーだなと思ってたら、開始3分でその理由がわかりました。正月からこのリアルな戦闘シーンを見るのは、キツいです。


 以前、『散るぞ悲しき』を紹介しました。栗原中将についての本や記事は、読むようにしていたのですが、映像の迫力を思い知ることになりました。プライベート・ライアンですね。
 ハリウッド映画としてどうかといえば、微妙でしょう。ラストサムライ
は、印象的な戦闘シーンで終わりますが、今回、渡辺謙は、地味な最期を遂げています。二宮&中村も、ヒーローにはほど遠く、爽快感は得られないまま、映画は終わります。
 ただ、「日本映画」として違和感がないところに、イーストウッド監督の実力を感じました。日本の映画監督が、イラクでペルシャ語の映画を作ったら、「イラク映画」として違和感がないレベルにできるでしょうか。監督以下、スタッフの努力には頭が下がります。
 監督は、手紙を通じて、日米に共通する人間としての思いを伝えたかったのだと思いますが、あまり伝わってきませんでした。『父親たちの星条旗』(Flags of Our Fathers)も観るべなのでしょうが、こういうシリアスな問題に対する表現方法がやっぱり、日米では違うなと思いました。
 アメリカ映画は、テンポ良すぎと感じます。日本人監督なら、セリフのないシーンとか、何気ないしぐさで、メッセージを伝えるのではないでしょうか。特攻隊のむなしさというのは、リアルな突撃シーンだけでなく、ホタルが舞う幻想的なシーンで、心にしみたりします。
 イーストウッドの硫黄島は、メトロノームがあって、カチカチ時間が刻まれている気がします。
 と文句はいいましたけど、非常に意義深い映画だと思います。これだけの日本人俳優が、日本のトピックで、ハリウッド映画を撮り切ったというのは、次につながる大きな一歩だと思います。

では。