「国家の罠」の中にある日本の政治に対する見方を自分なりにまとめてみました。(図をクリックすると、大きくなります)
政治の問題を「モノ」と「ココロ」の2つの問題に分けました。「モノ」というのは、予算配分や税制など、経済に関することがらです。「ココロ」というのは、外交、軍事、教育など思想に関することがらです。
横軸(モノ)は、左に行くほど、結果平等を目指して再配分を好むようになり、右に行くほど機会平等を重視し、競争を好むようになります。
縦軸(ココロ)は、上に行くほど、物事をシンプル(ピュア)に考えるようになり、下に行くほど、多様性を認めてあいまいさを許容するようになります。
こうして、日本の政党をプロットすると、小泉政権が誕生するまでの自民党は、第I象限(分配重視、国際協調)だったと思います。吉田ドクトリンの示すとおり、軍事力はアメリカに依存して、経済成長を優先し、地方に分配してきました。
小泉政権の登場で、自民党は第III象限(競争重視、ナショナリズム)へジャンプすることになりました。実際にそうだったかは検証する必要がありますが、竹中大臣のもとで規制緩和が進み、郵政公社、道路公団の民営化が行われ、靖国神社の参拝、中国・韓国との緊張が高まりました。
「国家の罠」の佐藤さんの鈴木宗男事件の総括は、第I象限から第III象限にジャンプするときに、第I象限の典型的な政治家であった鈴木議員が逮捕されたということでした。
こうしてみると、戦後の日本の政党は、社民、共産、公明とも、第I象限に入っていたのではないでしょうか。ハッキリと競争を打ち出し、隣国に対して言うべきことを言うようになったのは、最近のことですね。
一方、小沢党首は、靖国神社の問題で、A級戦犯の分祀を打ち出してきました。これは、今後の民主党の対抗軸が、第III象限vs.第?象限になる予感がします。
9月の総裁選は、第III象限の安倍さんと、第?象限の福田さんの戦いになってくるでしょう。自民党の総裁選は、第?象限と第IV象限の間にある「横軸」上で起こるのですが、雌雄を決するのは、第I象限にいる古い自民党の人とも言えるでしょう。
民主党の鳩山幹事長が、福田さんに秋波を送るのも、第?象限同士と思えば、納得がいきます。来年の参議院選挙を考えれば、第III象限の自民党を分割して民主党に引き寄せ、第一象限にいる政党と連立を組まなければ対抗できないと思います。
最後に現代の日本では、第II象限(分配重視、ナショナリズム)が空白になってますね。戦前の軍部がここだったと思いますし、現代でいえば、南米の反米政府(ベネズエラ、ボリビア)が、ここにあたるのではないでしょうか。
今後10年ぐらいを考えれば、ここを埋める政党が出てくるのではないでしょうか。
では。