日本経済新聞(2018/6/15)の「経済教室」に掲載された武田真彦 一橋大学教授の論考は、新興国の経営幹部に有益なものでした。
アルゼンチンに続き、トルコも通貨が急落し、自分の担当国も同じような為替リスクに見舞われるのではないかと心配する方も多かったのではないでそうか。「新興国13カ国の脆弱性指数と為替減価率」のチャートは、基本的なマクロ変数をみておけば、為替リスクの波及が予見できることを示しています。
脆弱性指数とは、財政赤字、経常赤字(いずれもGDP比)、インフレ率で各国を順位づけし、順位の平均を計算したもの。自分で同じチャートを作るため、為替レートは、4月の初値と、5月の安値(USDの高値)を比較して算出した。
私自身、アルゼンチンの通貨安がトルコに飛び火した後、アジア通貨危機のようなリスクを連想しました。しかし、それが、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムなどに波及することは、ありませんでした。この図からすれば、次に売り込まれるとすれば、南アやブラジルというわけです。(最近、売り込まれてますが)。
3つのマクロ指標をチェックするだけで、毎日、為替チャートをおどおどしながら見る必要はなかったわけです。カントリーリスクの高価なレポートを買わなくても、3つの指標を年に1度調べるだけでチャートは作れるので容易です。少ない手間で、為替リスクを管理する上での指針が得られるということで有益かと。ま、ブラックスワンはだれにも防げないのですが。
では。