1円玉が消える日

2月7日の日経商品欄に、アルミ缶の値段が上がっている記事が掲載されていました。アルミの地金が値上がりしているために、スクラップの値段が上がっているためです。アルミの価格は、下図のとおり。
アルミ、ドル円、WTI

99年には、1kgあたり169円ぐらいだったのが、 昨年400円近くに値上がりしました。いまは、313円になっています。

記事で面白かったのは、韓国の企業が、日本のアルミ缶に目をつけていることでした。石油が値上がりしたために、遠くの国からスクラップを運ぶのにコストがかかってしまい、日本のアルミ缶が割安になってきたためです。石油の値段は、上図の赤線です。これも、99年には1バレル11円ほどだったのが、最近では、100ドルというめちゃくちゃな値上がりをしました。

思えば、アルミは、原料のボーキサイトは、世界に豊富にあるものの、「電気の缶詰」と呼ばれるほど、製造に電気を消費します。そのもとは石油ですね。また、日本はほとんど輸入に頼っていますので、輸送にも、石油価格が聞いてきます。

そこで、石油価格と為替を変数にして、アルミ価格を重回帰分析してみました。タイムラグを設定し、半年前のWTI価格とドル円相場が、現在のアルミ価格に影響すると仮定しました。

結果は、こちらの式になります。

アルミ価格(円/kg) = 3.59×WTI(ドル/バレル)+1.12×ドル円 - 20.7
補正 R2= 0.868

為替が1円、円安になれば、アルミ価格が1.12円高くなるのは、ほとんど輸入なので、そうだろうなと思うのですが、石油が1ドルあがると、アルミの価格が3.59円上がるというのは、ちょっと驚きでした。
上式の予測値と実績値をチャートにすると、下図のとおり。
アルミ価格予測
だいたい、これで説明できてますね。このモデルによれば、アルミの価格が、2007年2月の396円から、現在の313円へ21%下がったのは、石油がその半年前の2006年7月の74ドルから2007年1月の54ドルへと27%も下がったことが原因だったといえます。
逆に、足元の石油価格と為替を上式に代入すると、これから半年の最高値の予測値は445円。アルミ缶集めたくなるのもわかりますね。BHPがリオティント買う遠因がこういうところにあるんでしょうか。

最後に1円玉が流通しなくなる石油の価格を逆算すると、1バレル250ドル。石油がここまで上昇すると、アルミ価格が半年後に1kg=1000円を突破し、1g=1円の1円玉は、塊にして売ったほうが儲かることになってしまいます。

ま、もうちょっと先の話になりそうですね。

では。