19 2026/6/19

イラン戦争停戦

By |2026-06-21T12:45:31+09:002026年6月19日|Etc|0 Comments

イラン戦争が停戦しました。まずは、日本の石油を備蓄してくれたみなさんに感謝します。ホルムズ海峡が封鎖されて、これだけの混乱で収まったというのは、隔世の感があります。 ウォール・ストリート・ジャーナルに、世界経済への影響を分析した記事が出ました。 https://www.wsj.com/economy/global/five-things-the-hormuz-crisis-taught-us-about-the-global-economy-c9bd6b45 エネルギーインテンシティーとは、GDP 1単位あたりに消費されるエネルギー量です。https://data.worldbank.org/indicator/EG.EGY.PRIM.PP.KD 2000と比較すると、世界的に低下しており、一次エネルギーへの依存を下げる努力が、世界経済への混乱を少なくするのに貢献したのがわかりました。 台湾や韓国といった石油の輸入で影響をうける地域が、AIブームによる半導体の輸出で輸出を伸ばしたというのも、興味深い指摘です。エネルギーを輸入に頼る国は、調達先を分散させ、備蓄し、経常黒字を維持することが重要なのですね。

18 2026/6/18

家族類型と企業買収

By |2026-06-20T08:23:14+09:002026年6月18日|Etc|0 Comments

日本製鉄がUSスチールを買って1年が経ちました。 家族類型が経営に与える影響を実感できるケースです。ひとつは、直系家族はお上の威光を受け入れるということです。下図は、資源関連(Material)企業の売上高と売上高当期純利益率を表しています。 Forbes Global 2000のMaterial 業界の中では、3番めに売上が大きいですね。世界の大企業です。 USスチールを2兆円で買収したの資金調達を、Grokを聞いた結果は、以下のとおりです。 資金調達項目億円比率詳細銀行借入約9,00045.0%- 国際協力銀行約5,50027.5%JBIC(約37億米ドル相当)- 民間銀行分約3,50017.5%三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行コミット型劣後特約付タームローン5,00025.0%2025年9月実行(資本性資金)転換社債(CB)合計6,00030.0%2029年満期 3,000 + 2031年満期 3,000全体約20,000100%上記でブリッジローン全額返済完了 情報源:日本製鉄公式発表、JBIC、日経新聞など(2026年3月時点)。 4分の1を政府(Japan Bank for International Cooperation)から借りているのにちょっと驚かないでしょうか。民間銀行を合わせた金額よりはるかに大きい金額です。1901年に八幡製鐵所ができてから120年以上経ち、世界に冠たる大企業になっても、政府からお金を借りることに躊躇がないのが直系家族です。 一方、絶対核家族の象徴はスペースXでしょう。直系家族的には政府の仕事としか思えない宇宙開発を民間企業として手掛け、時価総額は、2.5兆ドル(400兆円)。Cursorを600億ドル(9.6兆円)で買ってしまいました。資金調達法はわかりませんが、米国政府からは借りないと思います。絶対核家族にとっては、Equity finance というのが感覚に合うのでしょうね。 イーロンマスク氏の推定資産は1.3兆ドル(200兆円)①。こんなお金持ちを容認するのも、絶対核家族。日本製鉄が政府から借りた金額も、①の0.3%にすぎません。こんな世界で戦うのは容易ではないと思いました。

17 2026/6/17

オランダの物価上昇率

By |2026-06-20T09:15:56+09:002026年6月17日|Etc|0 Comments

日本の消費者物価上昇率(5月)は、1.4%でした。低いように見えますが、項目別にみてみると、違う印象になります。 https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf まず、食費が、全体の29.1%を占めているのですね。エンゲル係数が3割というところに、生活の厳しさが感じられます。そこが3.5%上昇している。これが「実感」に近いですね。 次に大きいのは住居ですが、日本は借家人が守られているので、賃料はそんなに上がりません。オランダであれば、毎年更新され、法律で、物価指数の上昇を上限とした賃上げができるので、0.9%では収まらないでしょう。 交通通信ですが、鉄道料金はかつてほとんどあがりませんでした。通信費も値下げ競争が終わったのですね。 びっくりするのが、光熱水道費がマイナスになっていること。政府の補助でしょう。 教育が6.1%も減ったのは、授業料免除でしょう。 5月の消費者物価指数は「官製」だったのではないでしょうか。 やはり、政策金利が実質ベースでマイナスになっている(景気刺激的)なのは、解せないですね。 一方、オランダの消費者物価指数(5月)は前年同期比で3.5%の上昇でした。https://www.cbs.nl/en-gb/visualisations/dashboard-on-consumer-prices イラン戦争前の2月は2.4%でしたので、1.1%ポイント物価上昇率が上がったことになります。オランダらしいのは、税金と補助金の効果を別建てにしているところです。たとえば、2022年に物価が5%以上上がった時には補助金を出しています。2023年に5%以下に下がったら、増税していますね。こうして財政収支の帳尻が合うわけです。日本は石油ショックがあったら備蓄を放出し、さらに消費税を下げる議論をしています。日本人は権力者に頼り、権力者はそれに応える。赤字国債で賄うので、この30年、負担は将来世代にずっと先送りです。 項目別の寄与度を見ていくと、エネルギーが0.59%なのがわかります。食費があまり上がらないのに、サービスがすぐに上がるのはオランダらしいところです。 住宅費は契約ベースなのですぐにはあがらないですが、0.85と2番めに大きな寄与度であることが印象的です。毎年賃料更新があって、賃料が上がり続けている結果でしょう。 オランダと比べると、日本が知らしむべからず、由らしむべしなのがわかります。

23 2026/5/23

SpaceXと株式会社

By |2026-05-26T06:28:21+09:002026年5月23日|Etc|0 Comments

SpaceXの目論見書が公開されました。絶対核家族と株式会社を学ぶよい資料でした。 1 財務諸表 日本人が見て最初に驚くのが売上高でしょう。2025年は、186億ドル。約3兆円です。 まだ、売上ないけど、グロース市場に上場しちゃおうという日本とはレベルが違います。 […]

21 2026/4/21

【本】ファイナンスの世界史

By |2026-06-20T08:23:58+09:002026年4月21日|Etc|0 Comments

ファイナンスの世界史 大村敬一 2025 『金利の歴史』と並び、これまでの自分のキャリアを振り返りながら読める一冊でした。資本主義の本質がオランダ的な仕事のやり方に通じるという点は、以前も考察しましたが、本書でその歴史的背景が補完されました。 改めて若くして親元を離れて暮らす絶対核家族は、引っ越しが多く、その場限りの関係で仕事を進める必要がありました。家族の墓が村にあり、代々そこに住み続ける直系家族の仕事の仕方とは根本的に異なるのです。世界初の株式会社はオランダの東インド会社でした。それまでのアジアへの航海が「プロジェクト・ファイナンス」で毎回清算していたのを、継続的な会社として複数の船を派遣するようになったのが株式会社だったわけです。 近代株式会社としてのかたちは、出資者(プリンシパル)と経営者(エージェント)の分離関係が確立されていたこと、すべての株主の有限責任制を導入したこと、譲渡可能な株式が発行されていたこと、などの点で、イギリス東インド会社に2年ほど遅れての設立ですが、オランダ東インド会社(1602年)の誕生の方が最初とされます。(p.87) つまり、それまでは、航海が終わるごとに全部配当して、次のプロジェクトに向かっていたのを、利益の一部を残して次の航海に再投資したのが株式会社だったわけです。 この本を読んでから、最近の議論を読むと、家族類型の違う人達が、配当を議論していても、噛み合わないのがわかります。 企業は過剰な株主還元脱し国内投資を 野球とベースボールが微妙に違うように、株式会社とjoint-stock-company も違うのです。 村の理論で労働分配率を論じるのもいいですが、なぜ、絶対核家族が、21世紀になっても、joint-stock-company という形で、Claude やスターリンクなどを実現してしまうのかを学んでみるべきではないでしょうか。

28 2026/3/28

ダニエル・ヤーギン

By |2026-03-29T09:44:53+09:002026年3月28日|Etc|0 Comments

イラン戦争が激化しているので、ヤーギンの『新しい世界の資源地図』(2020)を勉強しなおしました。前著の『石油の世紀』(1991)と比較すると、世界が30年でどう変わったのかがよくわかります。 観点『石油の世紀』 (The Prize)『新しい世界の資源地図』 (The New Map)中心テーマ石油をめぐる「支配」と「争い」の歴史エネルギー・気候・国家の衝突による「地図」の書き換え世界の構図石油への依存がもたらす「脆弱性」と「紛争」の時代豊富なエネルギーと脱炭素化が並存する「過渡期」の複雑性エネルギー主役石油 (Oil) が世界を動かす石油は依然として重要だが、天然ガス、再生可能エネルギー、電気自動車が競合する「ミックス」の時代地政学的焦点中東が世界のエネルギー地政学の中心中東に加え、米国(シェール)、ロシア、中国がそれぞれ独立した「地図」を持つ多極構造米国の位置づけ世界最大の石油輸入国。中東への依存と「石油武器」への脆弱性に悩まされるシェール革命により世界最大の石油・天然ガス生産国に。エネルギー自給がもたらす外交的・戦略的優位ロシアの位置づけ冷戦期の西側への石油供給停止(1973年)など、石油を地政学的武器として使用欧州へのガス供給を通じた「エネルギー・スーパーパワー」としての地位を築く中国の位置づけ主要なプレイヤーとして登場せず(冷戦終結直後の段階)世界最大のエネルギー消費国。南シナ海での海洋進出、「一帯一路」による資源ルート確保、電気自動車による「飛び越え戦略」安全保障の定義「エネルギー安全保障」=供給の途絶リスクへの対応「エネルギー安全保障」は依然重要だが、それに加えて「気候安全保障」という新たな軸が出現主なリスク石油をめぐる戦争(湾岸戦争)、産油国による禁輸、石油メジャーと産油国の対立気候変動と脱炭素化への移行リスク、米中の新冷戦、サイバー攻撃、インフラへの物理的攻撃テクノロジー石油採掘技術(深海掘削など)が地政学を変えるシェール(フラッキング+水平掘削)、電気自動車、蓄電池、AI、デジタル化が地政学そのものを再編環境・気候環境問題は規制や石油流出事故などの局地的な文脈で言及される程度気候変動は中心的なテーマの一つ。「エネルギー転換」が国際政治の最前線に浮上市場構造メジャー(エクソン、シェルなど)とOPECが市場を支配独立系企業(シェール)、国家資本、投資家(ESG)、市民社会の影響力が増大。供給者は多様化歴史観石油という商品が20世紀の歴史(戦争、繁栄、国際関係)をどう形作ったかの物語エネルギーシステムの「継続」と「断絶」の両方を視野に入れ、歴史的文脈の上に現在の地政学的衝突を位置づける未来予測石油の時代は続くが、地政学的リスクは軽減されない石油とガスは数十年にわたり世界を動かし続ける。エネルギー転換は不可避だが、「妨げられる未来」も想定した現実的な移行が必要 世界を米、中、ロ、中東と分けると、シェール・オイルで米国がエネルギー輸出国になった。中国が世界最大のエネルギー輸入国になった。ロシアはエネルギーの輸出先を欧州から中国に変更。中東は、エネルギーの多様化(再生エネルギーなど)とEVの普及で新たな道を模索しているのがよくわかりました。 こういうフレームワークを下敷きにすると、今回のイラン戦争が、石油を巡る争いでないのがよくわかります。トランプ大統領がそう考えているかは別として、米中対立のひとつの正面とみるべきなのだと思います。 日本政府が石油を備蓄してくれていたことに感謝します。同時に、このフレームワークに全く入らない日本の異様さも感じます。これほどエネルギーを外部に頼っている以上、国際政治のプレーヤーとして、手を打たないといけないと思いました。 では。

14 2026/2/14

CIOとしての総理大臣

By |2026-02-15T12:55:34+09:002026年2月14日|Etc|0 Comments

オランダから帰国して3ヶ月が経ちました。日本が以前よりハッキリと見えるようになりました。たとえば、経済運営です。オランダ政府は、フロー経済からストック経済への移行に成功しました。かつて覇権国だったオランダはイギリスに敗れ、第二次世界大戦ではナチスに占領されました。アジアの安い労働力に勝てるわけもなく、成熟した債権国として資産運用に注力しました。年金の安定度では、世界一。一人当たりGDPは1千万円です。 日本はオランダ以上に衰退しているのに、いまだにフロー経済に留まっているように見えます。首相も「働いて働いて」と損益計算書の世界(の中の売上だけ?)しか見えていません。 下図は日本の総資産の推移です。 […]

17 2026/1/17

雇われ人根性

By |2026-01-17T10:27:16+09:002026年1月17日|Etc|0 Comments

「雇われ人根性を解毒するには、勤めていたのと同じ時間がかかる」 1.1 「雇われ人」が当たり前になった現代日本 「雇われ人」とは、組織に雇われて給与を得る会社員や公務員のことです。現代では労働者の9割近くがこの形態ですが、戦後間もない頃は自営業(農家など)が多く、雇われ人は4割程度にすぎませんでした。この「多数派」の中にいると気づきにくいのですが、経営者と雇われ人とでは、根本的な「感覚」が決定的に異なります。 1.2 決定的な「感覚」のズレ 特に顕著なのが、「時間」と「報酬」に対する考え方です。 休みの概念:経営者に休みはありません。市場が急変すれば、日曜だろうが真夜中だろうが対応します。一方、雇われ人は「決まった労働時間」に安心を覚えます。日曜に出勤して月曜に代休を取ったとしても、心のどこかで「会社に貸しを作った(協力してあげた)」、あるいは「無理をした」という感覚になりがちです。 給与の平滑化:年収が同じ300万円だとしても、「毎月25万円」もらうのと「隔月で50万円(年6回)」もらうのとでは、雇われ人は前者に圧倒的な安心を感じます。しかし、売上が毎月一定などということは、経営の世界ではあり得ません。 1.3 2008年、リーマン・ショックという洗礼 私は、独立してすぐに仕事があったため、自分には才能があるのだと、うぬぼれていました。しかし、それは単に好景気の波に乗っていただけでした。 2005年:独立 2006年:結婚 2007年:第一子誕生 2008年:リーマン・ショックにより仕事が激減 1歳の子供を抱え、仕事がゼロになる恐怖. これこそが経営者が背負う「リスク」の本質です。雇われ人の感覚のままでは、この絶望に耐えることはできません。 1.4 独立を目指す方へ 私はその後、海外市場へ打って出ることで事態を打開しましたが、これから独立を目指す方には、まず自分の中の「雇われ人根性」に自覚的になってほしいと願っています。 自分の中に染み付いた「雇われ人の当たり前」を疑い、その毒が抜けたとき、本当の意味での経営が始まります。

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