オランダから帰国して3ヶ月が経ちました。日本が以前よりハッキリと見えるようになりました。たとえば、経済運営です。オランダ政府は、フロー経済からストック経済への移行に成功しました。かつて覇権国だったオランダはイギリスに敗れ、第二次世界大戦ではナチスに占領されました。アジアの安い労働力に勝てるわけもなく、成熟した債権国として資産運用に注力しました。年金の安定度では、世界一。一人当たりGDPは1千万円です。

日本はオランダ以上に衰退しているのに、いまだにフロー経済に留まっているように見えます。首相も「働いて働いて」と損益計算書の世界(の中の売上だけ?)しか見えていません。

下図は日本の総資産の推移です。

1995年は8,883兆円①。実質GDPは458兆円②でした。②÷①を総資産回転率と呼びましょう。当時は5.2%でした。
日本は、リーマン・ショック後、金融資産を積み上げ、総資産は、1京4119兆円にもなりました。

しかし、GDPは伸び悩み、総資産回転率は、3.9%にまで低下しました。

たとえば、日本の最高投資責任者(Chief Investment Officer、以下CIO)がいたとして、彼女が非効率な資産を売却し、効率的な資産に入れ替え、総資産回転率を5.7%に保ってくれたとしましょう。

そうしたら、日本のGDPは800兆円を超えていたはずです。日本の世帯数54.8百万で割れば、一世帯あたりの所得は460万円増えていたことになるのです。

65歳以上の高齢者が36百万人もいる国では、「働いて働いて」と呼びかけても、限界があります。手取りを増やすという政治家がいます。しかし、彼らがその前にやるべきことは、日本をフロー経済からストック経済に導き、非効率な資産がその利回りに留まっている理由を解消(規制緩和、あるいは規制強化)することではないでしょうか。
こんなに資産が増えているのに、国民の暮らしが貧しくなって(いるように)見えるというのは、ブラックジョークです。今、日本に必要なリーダーは、CIOではないでしょうか。