28 2026/3/28

ダニエル・ヤーギン

By |2026-03-29T09:44:53+09:002026年3月28日|Etc|0 Comments

イラン戦争が激化しているので、ヤーギンの『新しい世界の資源地図』(2020)を勉強しなおしました。前著の『石油の世紀』(1991)と比較すると、世界が30年でどう変わったのかがよくわかります。 観点『石油の世紀』 (The Prize)『新しい世界の資源地図』 (The New Map)中心テーマ石油をめぐる「支配」と「争い」の歴史エネルギー・気候・国家の衝突による「地図」の書き換え世界の構図石油への依存がもたらす「脆弱性」と「紛争」の時代豊富なエネルギーと脱炭素化が並存する「過渡期」の複雑性エネルギー主役石油 (Oil) が世界を動かす石油は依然として重要だが、天然ガス、再生可能エネルギー、電気自動車が競合する「ミックス」の時代地政学的焦点中東が世界のエネルギー地政学の中心中東に加え、米国(シェール)、ロシア、中国がそれぞれ独立した「地図」を持つ多極構造米国の位置づけ世界最大の石油輸入国。中東への依存と「石油武器」への脆弱性に悩まされるシェール革命により世界最大の石油・天然ガス生産国に。エネルギー自給がもたらす外交的・戦略的優位ロシアの位置づけ冷戦期の西側への石油供給停止(1973年)など、石油を地政学的武器として使用欧州へのガス供給を通じた「エネルギー・スーパーパワー」としての地位を築く中国の位置づけ主要なプレイヤーとして登場せず(冷戦終結直後の段階)世界最大のエネルギー消費国。南シナ海での海洋進出、「一帯一路」による資源ルート確保、電気自動車による「飛び越え戦略」安全保障の定義「エネルギー安全保障」=供給の途絶リスクへの対応「エネルギー安全保障」は依然重要だが、それに加えて「気候安全保障」という新たな軸が出現主なリスク石油をめぐる戦争(湾岸戦争)、産油国による禁輸、石油メジャーと産油国の対立気候変動と脱炭素化への移行リスク、米中の新冷戦、サイバー攻撃、インフラへの物理的攻撃テクノロジー石油採掘技術(深海掘削など)が地政学を変えるシェール(フラッキング+水平掘削)、電気自動車、蓄電池、AI、デジタル化が地政学そのものを再編環境・気候環境問題は規制や石油流出事故などの局地的な文脈で言及される程度気候変動は中心的なテーマの一つ。「エネルギー転換」が国際政治の最前線に浮上市場構造メジャー(エクソン、シェルなど)とOPECが市場を支配独立系企業(シェール)、国家資本、投資家(ESG)、市民社会の影響力が増大。供給者は多様化歴史観石油という商品が20世紀の歴史(戦争、繁栄、国際関係)をどう形作ったかの物語エネルギーシステムの「継続」と「断絶」の両方を視野に入れ、歴史的文脈の上に現在の地政学的衝突を位置づける未来予測石油の時代は続くが、地政学的リスクは軽減されない石油とガスは数十年にわたり世界を動かし続ける。エネルギー転換は不可避だが、「妨げられる未来」も想定した現実的な移行が必要 世界を米、中、ロ、中東と分けると、シェール・オイルで米国がエネルギー輸出国になった。中国が世界最大のエネルギー輸入国になった。ロシアはエネルギーの輸出先を欧州から中国に変更。中東は、エネルギーの多様化(再生エネルギーなど)とEVの普及で新たな道を模索しているのがよくわかりました。 こういうフレームワークを下敷きにすると、今回のイラン戦争が、石油を巡る争いでないのがよくわかります。トランプ大統領がそう考えているかは別として、米中対立のひとつの正面とみるべきなのだと思います。 日本政府が石油を備蓄してくれていたことに感謝します。同時に、このフレームワークに全く入らない日本の異様さも感じます。これほどエネルギーを外部に頼っている以上、国際政治のプレーヤーとして、手を打たないといけないと思いました。 では。

14 2026/2/14

CIOとしての総理大臣

By |2026-02-15T12:55:34+09:002026年2月14日|Etc|0 Comments

オランダから帰国して3ヶ月が経ちました。日本が以前よりハッキリと見えるようになりました。たとえば、経済運営です。オランダ政府は、フロー経済からストック経済への移行に成功しました。かつて覇権国だったオランダはイギリスに敗れ、第二次世界大戦ではナチスに占領されました。アジアの安い労働力に勝てるわけもなく、成熟した債権国として資産運用に注力しました。年金の安定度では、世界一。一人当たりGDPは1千万円です。 日本はオランダ以上に衰退しているのに、いまだにフロー経済に留まっているように見えます。首相も「働いて働いて」と損益計算書の世界(の中の売上だけ?)しか見えていません。 下図は日本の総資産の推移です。 […]

17 2026/1/17

雇われ人根性

By |2026-01-17T10:27:16+09:002026年1月17日|Etc|0 Comments

「雇われ人根性を解毒するには、勤めていたのと同じ時間がかかる」 1.1 「雇われ人」が当たり前になった現代日本 「雇われ人」とは、組織に雇われて給与を得る会社員や公務員のことです。現代では労働者の9割近くがこの形態ですが、戦後間もない頃は自営業(農家など)が多く、雇われ人は4割程度にすぎませんでした。この「多数派」の中にいると気づきにくいのですが、経営者と雇われ人とでは、根本的な「感覚」が決定的に異なります。 1.2 決定的な「感覚」のズレ 特に顕著なのが、「時間」と「報酬」に対する考え方です。 休みの概念:経営者に休みはありません。市場が急変すれば、日曜だろうが真夜中だろうが対応します。一方、雇われ人は「決まった労働時間」に安心を覚えます。日曜に出勤して月曜に代休を取ったとしても、心のどこかで「会社に貸しを作った(協力してあげた)」、あるいは「無理をした」という感覚になりがちです。 給与の平滑化:年収が同じ300万円だとしても、「毎月25万円」もらうのと「隔月で50万円(年6回)」もらうのとでは、雇われ人は前者に圧倒的な安心を感じます。しかし、売上が毎月一定などということは、経営の世界ではあり得ません。 1.3 2008年、リーマン・ショックという洗礼 私は、独立してすぐに仕事があったため、自分には才能があるのだと、うぬぼれていました。しかし、それは単に好景気の波に乗っていただけでした。 2005年:独立 2006年:結婚 2007年:第一子誕生 2008年:リーマン・ショックにより仕事が激減 1歳の子供を抱え、仕事がゼロになる恐怖. これこそが経営者が背負う「リスク」の本質です。雇われ人の感覚のままでは、この絶望に耐えることはできません。 1.4 独立を目指す方へ 私はその後、海外市場へ打って出ることで事態を打開しましたが、これから独立を目指す方には、まず自分の中の「雇われ人根性」に自覚的になってほしいと願っています。 自分の中に染み付いた「雇われ人の当たり前」を疑い、その毒が抜けたとき、本当の意味での経営が始まります。

9 2026/1/9

家族類型と建築

By |2026-01-10T10:38:25+09:002026年1月9日|Etc|0 Comments

文藝春秋2月号にエマニュエル・トッド氏と隈研吾氏の対談が掲載されていました。 日本の美意識の底力 家族類型が、建築にも影響していることがわかり興味深かったです。トッド氏の言葉: 伝統的なドイツの家は、私にとって、パリ盆地の典型的なフランス建築とは対照的で、「対称性の原則の欠如」を感じます。一方、フランスの建築には「対称性の原則」が顕著です。 よりわかりやすいのは、「建築」よりも「庭園」でしょう。フランスにとって「対称性の原則」はいわば”強迫観念”に等しく、左右対称を徹底するフランス式庭園が、まさに「フランス的精神」を体現しています。「非対称」的な英国式庭園や日本式庭園の違いは、誰もが感知できるでしょう。p.213 […]

3 2026/1/3

外国人延べ宿泊者数推移

By |2026-01-08T06:41:07+09:002026年1月3日|Etc|0 Comments

2025年、訪日観光客は過去最多になったようですね。現場の努力もあったと思いますが、政府が円安を放置したことが大きいと思います。米国の友人からは、我々が学生の時にタイに行った時に何でも安く感じた。それと同じことを、今、日本に行くと感じると言われました。 下図は、外国人延べ宿泊数の推移です。2011年実績を100として指数化してあります。 (資料:宿泊旅行統計調査) […]

2 2026/1/2

年頭所感 2026年

By |2026-01-08T06:41:07+09:002026年1月2日|Etc|0 Comments

2025年回顧 1 世界経済 欧米の変質を実感しました。ベルサイユ宮殿の贅沢さに唖然とした後にニューヨークに行きました。JFK空港から最寄りの地下鉄駅へ向かうシャトル列車が8.5USD (1,300円)でした。「公共交通」ではなくなっていました。スーパーの日用品も高く、コーラ(500ml)が、3 USD (470円)。とても暮らせません。一方、イーロン・マスクは150兆円の報酬を提示されています。NYはフランス革命前のパリのようだと思いました。ビッグアップルとシアトルに社会主義を公言する市長が誕生したのも納得です。 2 仕事 2025年、シンガポールに7年、オランダに6年住んだ後、日本に戻りました。世界に進出する企業の管理部門のエキスパートになりたいと志してきましたが、米国でMBAを取得し、70カ国230都市を訪れたことで、空間軸は築けたと思っています。AIに打ちのめされた一年でもありました。最近、思考力(CPU)が落ちてきているので、AIに助けられることが増えました。私も仕事の軸を知識を提供するのではなく、ネットワーキングに移さなければと思っている次第です。 3. プライベート 個人としては、母を亡くしました。20年にわたる透析を支えるのは、楽なものではありませんでしたが、私の人生を振り返る試練を与えてくれたのだと思っています。 2026年展望 1 世界経済 1.1 Gゼロの世界 「ウクライナ・イスラエル戦争は終わるが、局地戦はむしろ世界に広がる」との予測は半分外れました。ウクライナ戦争が終わるどころか欧州軍(核家族・直系家族) vs. ロシア(共同体家族)の対立は固定化されるということでしょう。後半の局地戦は、さらに広がると思います。インドvsパキスタン。タイvsカンボジア。世界の警察が不在の世界に、我々も備えなければなりません。 1.2 債務調整 日本の10年国債の利回りが2%を超えました。世界中で膨らんだ債務の調整リスクは続いています。リーマン・ショック並の調整があっても、耐えられるように備えなければなりません。 2.2 仕事 独立21年目に振り出しに戻り、藤井堅三事務所を復活させました。 https://fujii.org 引き続き海外進出のお手伝いをしていますが、異文化コミュニケーションを若い世代に伝えていきたいと思っています。 また、同世代でも、私のように独立して複数の会社から仕事を受ける人が増えてきました。彼らも応援していきます。 [...]

27 2025/8/27

Pax Anglophonica

By |2026-01-13T12:59:05+09:002025年8月27日|Etc|0 Comments

米ロ首脳会談をみて、世界は新たな秩序に向かっていると思いました。かつてのアメリカであれば、戦争中のロシア大統領を自国に招くことはなかったでしょう。歴史上、特定の超大国が世界秩序を主導する時代は「パックス」と称されてきましたが、これからの時代はどのような「パックス」となるのでしょうか。 歴史上の「パックス」時代 歴史を振り返ると、グローバルな秩序を形成し、安定をもたらした時代はしばしばその主導国の名から「パックス」と呼ばれてきました。私の記憶では、以下のような「パックス」が存在しました。 […]

10 2025/8/10

テックは正しいのか

By |2026-01-08T06:41:07+09:002025年8月10日|Etc|0 Comments

NHKスペシャル「イーロン・マスク “アメリカ改革”の深層」が話題になってますね。AIの進化は、テックライトの主張に説得力を持たせています。民主主義が危機に瀕している現状が理解できる一方で、10年後もアメリカが時代を牽引していくという確信も得られました。 […]

20 2025/4/20

Emergence Delft

By |2026-01-08T06:41:07+09:002025年4月20日|Etc|0 Comments

1. デルフト工科大学 TU Delftは、1842年にオランダ国王ウィレム2世によって設立された、オランダ最古にして最大の工科大学です。工学・技術分野の総合大学として、特に機械工学や建築学で世界的に卓越した地位を確立しています。QS世界大学ランキング2025では機械・航空工学部門で世界第3位、建築学部門でも世界第6位にランクされ、総合ランキングでは世界49位という高い評価を得ています。 […]

10 2025/4/10

NotebookLMでポッドキャスト

By |2026-01-08T06:41:07+09:002025年4月10日|Etc|0 Comments

富士通が、256量子ビットの量子コンピュータを開発しました。 https://www.youtube.com/watch?v=7ZOIcZfWzBE 素晴らしいことなのですが、難しくてわからなかったので、NotebookLMにポッドキャストにしてもらいました。 プロのアナウンサー顔負けのわかりやすさですね。 教師やアナウンサーの仕事が無くなっていくのを実感しました。

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