企業買収後の経営統合(Post Merger Integration, PMI) のお手伝いをしていて、避けて通れないのがアウトソースです。システム、経理、給与計算などを自社でやるのか外出しするのかは、その後の事業展開を左右します。

 私はこれまで15カ国の650社を調べ、180社を往訪してきました。だいたい郊外に広い事務所を構え、パソコンを並べて社員が仕事をしていました。アポ無しで行っても、会えないということは、ほとんどありませんでした。

 ところが、2022年4月にロンドンで5社のアウトソーサーを往訪したところ、1社にしか会えませんでした。ほかは、営業も常駐していないシェアオフィスになっていたり、撤退した後の住所がそのままホームページに掲載されていたりしました。人を多く雇う業界でもWork from Home が浸透し、もはやひとつの場所に社員を集めなくなっていたのです。経理担当は家から働くのが普通となり、自社の経理部とアウトソース先の担当者との差が何なのか、あいまいな時代になりました。会社の経営数値を外部の人に触らせるなどもってのほかと考えていた時には、考えられない状況です。

 これまでアウトソースは、自社の強みが活かせるかどうかを基準にして考えてきましたが、今後はさらに柔軟に考える必要があると思いました。