By kenzo on 2009/03/25
なぜ世界は不況に陥ったのか 池田信夫 池尾和人 日経BP 2009/3 サブプライム危機以降の世界経済についての集中講義。池田先生のブログを読んでいる人には、新しいことはないと思いますが、池尾先生との対話になることで、よりわかりやすくなっています。 世の中の政治家や実業家は、何十年か前の古い経済思想の奴隷である。p.139 ケインズの言葉を紹介して、最新の経済学の研究成果と実際の政策策定現場のギャップを埋めることを目的のひとつとしています。 印象深いのがこちらの警句。 地獄への道は善意で敷き詰められている p.119 今回の危機についても、良かれと思ってやったことが裏目に出た。その一つの背景に”Great Moderation”(P.61)を上げています。平時であれば、リスクとリターンをにらんで投資をするはずが、皮肉なことに、大平穏の時代があったために、リスクを過小評価するようになった。 任期中にたった二回、しかも軽度のリセッションしか引き起こさなかったことで、ひょっとするとグリーンスパンは非難されることになるかもしれない p.175 ラジャンの言葉 もちろん、データをあげて、世の中の誤解を解くことも、本書の特徴になっています。たとえば、アメリカ人が浪費好きだという件について。 医療費が家計支出の20%以上を占めている。(中略)都市部では家賃が非常に高く、家計支出の25%を占めている。またアメリカは自動車がないと生活できないような町の構造になっているので、運輸・交通費が12%。 つまり医療、住宅、自動車という固定費だけで、家計支出の60%近くになってしまう。p.83 20年以上前に経済学を学んだ私は、累計40年ほど前の経済学で世の中を見ているのがよくわかりました。 では。 amazonの書評を読む
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By kenzo on 2009/03/25
成功ルールが変わる! Karaoke Capitalism Management for Mankind Jonas Riddderstrale, Kjell A Nordstrom PHP 2004/10 スウェーデンのストックホルム経済大学教授による経営論。市場経済の狂気に警鐘を鳴らしているのですが、執筆をした2003年よりも、今のほうが、落ち着いて議論をたどることができます。 「カラオケ資本主義」とは、個人時代の資本主義のこと。集団で演奏する時代は終わり、一人ひとりがソロの歌手であると説きます。個人消費の選択肢は広がり、”J’achète, donc je suis” (p.60)状態にある。知識/想像力がもっとも重要な資源となり、国家は才能獲得競争に入ったとしています。 そうした競争社会の行き着く先は、低い平均収益率。マルクスを思い出しますね、個別企業が努力するほど、市場での生き残りが厳しくなる。 企業に必要なのは、スピード。エネルギーが大きく、質量が小さいほど、スピードは速くなるという物理学の法則を紹介しています。 リーダーシップについては、 カラオケ世界では、リーダーは組織の全ての人にビジョンを与えなければならない。p.168 としています。最近、オバマ氏の選挙活動で、それを思い知りましたね。大企業の社長といっても、200万人を動かすことはないでしょうから。 では。 Amazonの書評を読む
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By kenzo on 2009/02/12
第三次世界大戦 世界恐慌でこうなる! 佐藤 優、田原 総一朗 アスコム 2009/1 先日紹介したときは、右巻と左巻を間違えました。すみません。こちらが、経済を取り上げており、頭の整理に役立ちます。印象に残った点をノートします。 イスラムの人たちが抱く旧約聖書のイメージとは何か?それはソドムとゴモラですよ。 小泉さんや竹中さんという固有名詞は、重要ではない。共産主義が倒れたとき、日本でも新自由主義的な経済学が必要だったんです。 資本主義の分析者としてのマルクスの再評価と、近代経済学の限界の指摘。たしかに、貨幣とか株式といったものを、自明のもの、最初からあるものとして見てますね。 共産主義は、分配を声高に主張するが、入りをどのように大きくするかという視点に欠ける。解決策としては、資本家による再分配。それは、税制や法律の問題ではなく、エリートのモラルの問題としています。 世界の帝国主義化。特に、米ロの「王朝化」という視点は、重要だと思いました。アメリカといおう国を次のようにたとえているのが印象的です。 アメリカには二つの顔がある。一つは、『巨人の星』の星飛雄馬みたいな、目をランランと燃やした、まじめでバカ正直なアメリカ。もう一つは、『ドラえもん』のジャイアンみたいな、力が強くてまわりの迷惑を考えない乱暴者なんだけど、ちょっとお人よしみたいなところもあるアメリカ。p.66 9章の貧困問題では、島根、北海道、ロシアの例が印象に残りました。国(地域)によって、貧困層に何をするか変わるし、政治家の感度がものをいうのがよくわかります。 私も、ウランバートルに行ったときに、市場では羊を「モンゴル持ち」で運んでいるにもかかわらず、全棟セントラルヒーティングなのに驚きました。北国では、暖房が必需品であり、そこは政府が責任を持つんですね。 島根県内の道路は立派なのに、大阪に行く道路がないのは、竹下さんが飛行機を使っていたからというのは、笑えない話であります。 モンテスキューは『法の精神』で「中間団体こそが民主主義の基本である」といっている。(中略)国家に依存しなくても、飯を食べさせていけるという組織が必要だと思います。民主主義を担保するのは、じつは個人や市民ではなくて、教会や地域共同体などの中間団体なんです。p.274 うーん、整理しきれません。私も、誰かと議論をして考え直さねばと思いました。 では。
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By kenzo on 2009/02/11
日本経済を襲う二つの波―サブプライム危機とグローバリゼーションの行方 リチャード・クー 徳間書店 2008/6 「麻生太郎氏の経済政策の理論的支柱」といわれる著者の本。持論のバランスシート不況について掘り下げて説明しています。しかし、『東洋経済 2008年決定版経済・経営書ベスト100』では23位。この順位が、財政政策にかかわる論争の広がりの無さを象徴しているように思えます。 クーさんの主張は、経済学者の眼からみて、論ずるに足りないのかもしれません。しかし、経済学の先生にもうちょっと大学の外に出てもらって、経済学部出身のサラリーマンにわかるぐらいの論争をやっていただかないと、日本の財政政策をどうするのか、「国民の意思」が作られないのではないかと思います。 給付金は是か非か。アメリカの財政出動をどうみるのか。そして日本は? 大きな岐路に立っている時期ですから、複雑な問題であることは承知の上で、わかりやすい対立軸を立てて、議論をして欲しいと思いました。 では。
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By kenzo on 2009/02/02
2015年の日本 野村総研 東洋経済新報社 (2007/12) ワタベウェディング 渡部隆夫氏の推薦図書に入っていたので、読んでみました。 2010年の日本を書いてからすぐに本書を書いた理由から始まっています。まさか、サブプライムで状況が変わるとは思っていなかったんでしょう。イギリスをほめているあたりは、割り引いて読む必要があります。
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